症例のご紹介10
D様 80代 女性
詳細
こちらの方は開業当初から、長く来ていただいている患者さんです。
今回久しぶりにいらっしゃったのは、歯ぐきが腫れて、噛むと痛いという症状でお困りとのこと。痛みが出ているのは、右上の入れ歯のフックをかける歯(鈎歯・こうし)でした。レントゲンや歯周病検査などを進めていくと、歯根破折であることがわかりました。歯根破折とは、以前に治療を行った歯の歯根にひびが入る状態で、噛みあう下の歯からの強い突き上げで起こることがあります。このような状況ですが、この歯を残すことは難しくなり、じっくり話をしたうえで、抜歯をすることになりました。
そうすると、これまで以上に入れ歯はさらに大きくなり、5本分の欠損部分を補う入れ歯が必要になります。様々な治療方法の選択肢の中から、治療方法を一緒に検討させていただき、今回は、精密鋳造金属義歯の中のコバルトクロム金属床義歯となりました。審美性に優れたスマートデンチャーという金属のフックを使用しないタイプも検討しましたが、構造上こちらのケースでは耐久性が期待できないことや、咬合のバランス、経済的なメリットも勘案し、金属床義歯となりました。また、今回は入れ歯のフックの素材には、白金加金を使用しました。歯科鋳造用白金加金は、金7割以上に、白金や銀を混合させた専用の金属で、程よい弾力性があり、入れ歯を支える素材としては非常に優れています。加えて、口腔内に自然に溶け込むよう審美性に充分配慮した色調になっている点も、こちらを選ぶメリットです。これからも定期的なメンテナンスを受けて、少しでも長く快適なお食事が続くことを願っております。
経過の写真
治療期間 | 右上:約1ヵ月(3回の通院) |
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治療費用 | 右上:約30万円 |
副作用とリスク | 慣れるまで口腔内で異物感を感じることがあります。 |